特許権による資金調達には二つの考え方があります。
一つは,特許権を担保にして銀行から融資を受けるというものです(特許担保融資)。
もう一つは,特許権その他の知的財産権を保有している事実を企業競争力・資金返済力の一部として金融機関に評価をしていただき,融資を受けるというものです。
VCによる投資など,直接金融の場合は,後者が主となります。
特許担保融資の問題点はいくつかあります。
一つは担保となる特許権の価値評価です。
これについては,【特許権の評価手法とその活用法】の項目をご参照ください。
もう一つは,特許権の換価性です。
特許を流通する市場は存在せず,債務者の弁済不能によって担保権実行する場合は債権者が自分で特許権の処分先を見つけてこなければなりません。
このような意味から,特許担保融資が機能するのはすでにライセンシーが存在する特許など,限定的なケースになるのではないかと考えています。
他方,知財を資金返済力の一部として金融機関に評価していただくためには,事業計画書に特許権等の保有事実のみならず,当該特許権による参入障壁性,参入障壁性と結びつけられた事業計画の妥当性などを論理的に説明する必要があります。
当職は,2008年度,この手法を研究する横浜市のプロジェクト(注1)において座長を拝命し,指導的な立場にありました。
もう一つの資金調達方法として,特許権の証券化という手法があり得ます。
実際,2003年に経済産業省の主導の下,このスキームが行われましたが,現時点では唯一のケースにとどまっています。
当職はこのプロジェクトにおいて証券化の対象となる特許権について,評価意見書を提出させていただきました (注2)。
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