技術情報はノウハウ(営業秘密)として不正競争防止法によって保護されます。
不正競争防止法によれば,技術情報を盗んだ者等に対して,その情報の使用を停止させ,損害賠償請求などができるとされています。近年,営業秘密管理の重要性について認識が高まってきており,平成27年改正では,一定の要件の下で,営業秘密を転得した2次取得者,3次取得者についても処罰されるようになり,不正に使用された営業秘密により生じた物(営業秘密侵害品)についても水際措置をとることができるようになるなど,保護が強化されています。

しかし,不正競争防止法による保護を受けるためには,技術情報について,一定レベル以上の守秘管理をしていることが条件となります。下図に示すように,最初のステップは保護の対象となる技術情報が客観的に特定されていることです。

これは通常,一定の社内基準に基づいて,”○○社機密“ ”○○confidential” などと表示されていることを意味します。
このような表示が付されることにより特定された情報について,全従業員がアクセスできるような状況ではないこと(アクセス権限者の設定)が次の条件です。

例えば,ある技術情報については,経営陣とその開発チームのメンバーのみがアクセスできるような状態がこれにあたります。
このためには,その技術情報が(i)電子情報の場合には,一定のサーバ領域に格納され,ID/パスワードが設定されていること,(ii)紙やサンプル等の有形媒体の場合には,施錠された区画に保管され,かつ,錠の保管管理もなされていることが条件となります。

つまり,以上から分かるように,単に“Confidential”などと表示されているだけでは,不正競争防止法で保護される営業秘密には当たらないということです。営業秘密であるというためには,真に社内でその技術情報が秘密として管理されているという実態が要求されるのです。

また,企業規模に応じて,秘密管理ポリシーの設定や従業員との守秘義務契約,日々の啓蒙教育,情報管理のための組織,責任者の存在などが問われることがあります。

全ての技術情報について上記のとおり管理することは極めて手間がかかるので現実的ではないかもしれません。しかし,非常に重要なものについては,上記のような管理を励行されることをお勧めします。