特許調査をしたら危ない特許が見つかったとします。 まず,「特許」が権利化しているか確認しましょう。

ヒットした「特許」が特許公報であれば,特許権が発生しています。 特許権の存在の確認,クレームの確認等を行いましょう。 詳しくは,【特許侵害だと言い切っていいの?

その後,特許侵害の有無を検討しましょう。 詳しくは,【実施例とそっくり!やばいのかな?

ヒットした「特許」が公開公報であれば,出願番号又は公開番号から,特許権が発生しているかを確認します。 例えば,特許庁の特許電子図書館(IPDL)の「特許・実用新案文献番号索引照会」(http://www.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjbansaku.ipdl?N0000=110)で容易に確認することができます。 ただし,実際の特許権の発生からデータがアップロードされるまでに,若干のタイムラグがあります。

ヒットした「特許」について,特許権が発生していない場合であっても,将来的に特許権が発生するかもしれませんし,補償金請求権の対象ともなりますので,御社製品がクレームの要件を充足しているかは確認しておきましょう。 「危ない特許」については,今後,審査請求がなされたか,権利化されたか等をウォッチしていく必要があります。

さて,御社製品が第三者の特許を侵害していることが明らかになった場合は,どうしたらよいでしょうか。

一般的には,以下の1~4の対応が考えられます。

1.設計変更

御社製品を第三者の特許を侵害しない態様に設計変更することが考えられます。 特許権者からの差止めを未然に回避し,ダメージを最小限にするという点で有効な対応です。 ただし,侵害しない態様にしたのでは売上が激減する場合などには有効ではありませんし,製造設備の変更に費用が掛かるという問題もあります。

2.対抗特許

特許権者に対抗することができる特許を洗い出します。 すなわち,特許権者の製品が侵害していそうな御社特許を探し出すのです。 対抗特許が見つからない場合には,迅速に出願して対抗特許を作り出します。 これにより,御社の側からクロスライセンス契約に持ち込むこともできるようになります。 また,もし特許権者から警告状が来たり,訴訟が提起されたりしても,あらかじめ対抗特許を持っておくことにより,余裕を持って対応することができます。 対抗特許の意義については,【訴訟をすることは大変?

3.ライセンス許諾

特許権者が非実施企業である場合には,対抗特許がありませんので,2の手段は採ることができません。 この場合,ライセンス許諾を得るべく交渉をするのが一つの手段となります。 この段階で御社の側からライセンス交渉を持ちかける場合は,特許権者が御社の侵害行為を発見した後にライセンス交渉になる場合に比べて,ライセンス交渉が円滑に行われることを期待することができます。

4.事業化断念

上記1~3の手段が有効でない場合には,やむを得ず事業化を断念することも視野にいれなければなりません。