商標・意匠でも特許と同じくらい大変な訴訟?

商標・意匠の侵害訴訟は,特許と異なり技術に関するものではないため,特許発明の理解,被疑侵害品の構成要件該当性,均等論など,技術に関する知識習得・理解を必要としません。

したがって,この点では,特許の方が大変ということができます。

他方,商標・意匠の類否判断は,類似しているような類似していないようなという微妙な案件が問題となりますから,専門的判断が不可欠であるという特徴があります。
特許の場合,クレームと被疑侵害品とを対比して明らかに非侵害ということもありますが,商標・意匠の場合,そのようなことは少ないといえます。
したがって,訴訟の過程で,勝敗が読みづらいということがいえるのではないでしょうか。

審理期間は,商標・意匠の方が特許に比べて短いという傾向があります。
例えば,大阪地裁の審理モデルでは,侵害論が終了するまでの期間を,商標・意匠では160日,特許では280日に設定しています。

意匠・商標権侵害事件,不正競争防止法(1~3号)事件の審理モデル
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/311004.pdf

特許・実用新案権侵害事件の審理モデル
http://www.courts.go.jp/osaka/vcms_lf/sinrimoderu2013331.pdf

このように,商標・意匠の侵害訴訟は,概して特許よりも大変ではないといえるものの,やはり当事者の負担は大きく,専門家である知財弁護士に依頼しなければ到底遂行することはできないと思われます。