【平成27年1月29日(東京地判第2249号86項)】

【キーワード】
商標的使用,メタタグ,タイトルタグ

【判旨】
Y各標章は、htmlファイルにメタタグないしタイトルタグとして記載された結果、検索エンジンの検索結果において、Yサイトの内容の説明文ないし概要やホームページタイトルとして表示され、これらがYサイトにおける家具等の小売業務の出所等を表示し、インターネットユーザーの目に触れることにより、顧客がYサイトにアクセスするよう誘引するのであるから、メタタグないしタイトルタグとしての使用は、商標的使用に当たるということができる。


第1 事案
 本件は,商標をhtmlファイルにメタタグないしタイトルタグとして記載し,検索エンジンの検索結果において,Yサイトの内容の説明文ないし概要やホームページタイトルとして表示させることが,商標権侵害にあたるかが争われた事案である。
 Xは,「IKEA」、「イケア」という登録商標の商標権者である。Yは,ウェブサイトを通じて消費者からX製品の注文を募り,イケアストアでX製品を購入して梱包,発送し,注文した消費者に転売する買物代行事業を営んでいる。
 Xは,Yに対し,Yウェブサイトのメタタグないしタイトルタグにおいて,X保有商標権にかかる「IKEA」及び「イケア」を使用することはXの商標権を侵害するとして損害賠償等を求めた。なお,本件は商品画像の著作権侵害に関する論点もあるが本稿では割愛する。

第2 判旨
 「メタタグとは,ウェブページの内容を記述したhtmlのソースコードであり,タイトルタグとは,ウェブページのタイトルを記述したhtmlのソースコードである。インターネットの検索エンジンの検索結果において表示されるウェブページの説明は、ウェブサイトの概要等を示す広告であるということができるから、これが表示されるようにhtmlファイルにメタタグないしタイトルタグを記載することは、役務に関する広告を内容とする情報を電磁的方法により提供する行為に当たる。そして、Y各標章は、htmlファイルにメタタグないしタイトルタグとして記載された結果、検索エンジンの検索結果において、Yサイトの内容の説明文ないし概要やホームページタイトルとして表示され、これらがYサイトにおける家具等の小売業務の出所等を表示し、インターネットユーザーの目に触れることにより、顧客がYサイトにアクセスするよう誘引するのであるから、メタタグないしタイトルタグとしての使用は、商標的使用に当たるということができる。
 Yは、本件各商標をメタタグとして使用しているウェブサイトが多数存在するなどとして、Y各標章をメタタグに使用することが許されるかのような主張をするが、少なくとも本件におけるY各標章の使用態様が違法性を欠くとは認めがたい。Yの主張は、採用することができない。

第3 若干の検討

 本件は,メタタグやタイトルタグでの商標の使用が商標権侵害を構成するかが争われた事案である。
 メタタグやタイトルタグ自体は通常の使用状態ではホームページに表示されないため,商標権侵害を否定すべきと説く見解もある。しかし,本判決は,上記のとおり判示し,メタタグ及びタイトルタグにおける商標の使用は商標権侵害を構成するとした。本判決の他,大阪地判平17.12.8判時1934号109頁も,メタタグによる商標の使用は商標権侵害を構成すると判示している。
 最高裁の判断が出ているわけではないが,実務上は,メタタグやタイトルタグにおける商標の使用も商標権侵害を構成し得ることを前提に対応すべきである。

以上
(文責)弁護士 高瀬 亜富