【令和元年9月19日(東京地裁 平成31年(ワ)第1564号)】

【判旨】
反訴原告が、反訴被告が販売等するカラー筆ペン(反訴被告商品)は,反訴原告が製造販売する周知の商品等表示であるカラー筆ペン(反訴原告商品)と類似の商品等表示を使用するものであり、これを譲渡等する行為は不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当するとして、反訴被告に対し、反訴被告商品の販売等の差止めを求めるとともに、反訴被告商品の販売等に供するなどした物件の廃棄を求めた事案。裁判所は,反訴原告商品の形態等は、特別顕著性を有するとは認められないから、これをもって不正競争防止法2条1項1号の「商品等表示」ということはできないとして、請求を棄却した。

【キーワード】
不正競争防止法2条1項1号、特別顕著性

1 事案の概要及び争点

 反訴原告及び反訴被告は,いずれも筆墨文房具の製造・販売等を業とする株式会社である。本訴訟は,当初,反訴被告(本訴原告)から反訴原告(本訴被告)に対する債務(差止請求権)の不存在確認訴訟という形で開始されたが,これに対し反訴原告が反訴(本稿にて解説)を提起したことから,本訴が取り下げられて反訴に一本化された。反訴原告商品は,「日本の伝統色」として落ち着いた色合いの30色をカラーバリエーションとして売り出しており,この点も反訴原告商品の形態上の特徴として主張されていた。

※各商品の形態

反訴原告商品反訴被告商品

(2)争点
 本件の争点は,下記のとおりである。
 ① 反訴原告商品の形態等の商品等表示性の有無及び周知性の有無(争点1)
 ② 反訴原告商品の形態等と反訴被告商品の形態等の類否及び混同のおそれの有無(争点2)

2 裁判所の判断

(1)比較対象とする同種商品の範囲
 まず,裁判所は,比較対象とすべき「他の同種商品」の範囲について,その用途や販売形態を踏まえ,厳密な意味での「筆ペン」だけでなく,マーカーやサインペンも含めるべきとした。

※裁判例より抜粋(下線部は筆者が付加。以下同じ。)

   ア 比較対象とする商品
 (ア) 前記(2)のとおり,商品の形態が「商品等表示」に該当するためには,商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有すること(特別顕著性)を要すると解されるところ,その判断は,不正競争防止法2条1項1号の趣旨から,当該商品の需要者が基準となる。ここで,比較対象となる「他の同種商品」には,商品等表示に当たるか否かが問題となる商品と厳密に同一の種類の商品であることまでは必要でなく,当該商品の需要者にとって同種と認識される範囲の商品であれば足りるというべきである。
 (イ) 前記(3)ア(イ)及び(ウ)のとおり,筆記具製造業者等により組織された業界団体である日本筆記具工業会は,一般的な説明としても,また,同会作成に係る基準においても,筆ペンをマーキングペンの一種に位置付けた上で,その規格を定めている。そこでは,筆ペンは,マーキングペンの中でも筆文字が書けるものと規定されているものの,前記(3)ウのとおり,反訴原告自身が筆ペンと位置付けている別紙比較商品目録記載1~7の各商品のうち,同記載5~7の各商品(四季織マーカー,デュアルブラッシュ,筆之助)については,各製造販売元がマーカーやサインペンと位置付けている。他方,反訴被告がマーカーやサインペンであると位置付けている同記載1,6,8~20の各商品のうち,同記載1の商品(リアルブラッシュ)については,製造販売元が「筆ペン」と位置付けている。さらに,同記載20の商品(ペチットスリー)については,製造販売元が「筆ペンタイプ」とするとともに,「カラー筆ペンとして楽しむこともできます。」と紹介している。また,同記載1の商品(クリーンカラーFB)については,製造販売元が,「筆ペン」とは別個のカテゴリーに分類された「ペン」に位置付けつつ,「カラー筆ペン」として紹介している。これらの製造販売元がいずれも上記基準の作成に関与したこと(乙18)をも考慮すると,これらの事情は,筆記具製造業者等において,筆ペンとマーカーやサインペンとは厳密には峻別されずに宣伝販売されているのが実情であることをうかがわせる。
 他方,証拠(甲18の3,乙12)によれば,筆ペンとマーカーやサインペンを近接した場所に陳列して販売している店舗が存在することが認められる。
 さらに,前記(3)イのとおり,反訴原告商品は,水彩画等の絵を描くこととともに,「写経」に用いられることが想定されている以上,字を書くことにも用いられると認められる。他方,前記(3)ウのとおり,反訴原告がカラー筆ペンと位置付ける別紙比較商品目録記載1~7の各商品のうち,同記載3,4及び7の各商品(アートブラッシュ,筆まかせ,筆之助)も,絵を描くこととともに,字を書くことにも用いられることが想定されている。そして,マーカーやサインペンが字を書いたり絵を描いたりするために用いられることは公知の事実であり,前記(3)ウのとおり,反訴被告がマーカーやサインペンと位置付ける同記載12の商品(水彩ブラッシュペン)も,このような用途で用いられる。そうすると,字を書いたり,絵を描いたりするために用いられるという点で,筆ペンとマーカーやサインペンとは,その用途において共通する。
 これらの事情に鑑みると,筆ペンとマーカーやサインペンとは,異なる種類の商品として明確に区別されて製造販売されているものではなく,最終需要者である消費者も,必ずしもこれらを明確に区別してはおらず,同種商品として認識しているものと見られる。
 したがって,カラー筆ペンである反訴原告商品の形態等の特別顕著性の有無を判断するに際しては,厳密な意味での筆ペンだけでなく,マーカーやサインペンも含めて比較するのが相当である。

 (ウ) これに対し,反訴原告は,用途等の違いを指摘して,反訴原告商品の形態等の特別顕著性の有無を判断するに際しては,マーカーやサインペンを比較対象に含めるべきではないと主張する。
 しかし,反訴原告商品とマーカーやサインペンとの用途に共通点が見られることは上記のとおりであり,また,その他反訴原告がるる主張する事情を考慮しても,この点に関する反訴原告の主張は採用できない。

(2)反訴原告商品の特別顕著性について
 次に,裁判所は,反訴原告商品の形態について,その構成要素である「先口」「穂先」「キャップ」「軸」の各形態や,商品の包装・カラーバリエーションの点は,いずれも他の同種商品においてありふれており,特別顕著性を有しないと判示した。

   イ 反訴原告商品の形態について
 (ア) 先口
  a 反訴原告は,反訴原告商品の先口について,①軸から穂先に至るまで段差が小さく,滑らかになっていて,円錐形のような形状をしている点,②軸との境界部分に溝がある点,③インクと同じ色をしている点が,他の同種製品とは異なる顕著な特徴であると主張する。
  b まず,①についてみると,前記(3)ウのとおり,別紙比較対象商品目録記載4及び12の各商品(筆まかせ,水彩ブラッシュペン)の先口は,略円錐台形状であり,反訴原告商品同様,軸から穂先に至るまで段差が小さく,滑らかになっていて,円錐形のような形状をしている。また,同記載6の商品(デュアルブラッシュ)の軟筆タイプ側の先口も,軸から先口の境界部分に多少の段差はあるものの,大部分が略円錐台形状である。その余の同記載の各商品も,概略としては,軸端から穂先に向かって幅が狭まっており,全体として略円錐台形状をしていると評し得る形状をしている。
 したがって,上記①は,反訴原告商品以外の商品にも存在するありふれたものであり,それ自体としては,客観的に他の同種商品と異なる顕著な特徴であるとは認められない。
  c 次に,②についてみると,前記(3)ウのとおり,別紙比較商品目録記載1,3及び4の各商品(リアルブラッシュ,アートブラッシュ,筆まかせ)については,先口に溝があると認められるものの,その余の各商品については,証拠上,先口に溝があるとは認められない。もっとも,証拠(甲3)及び弁論の全趣旨によれば,マーキングペンに存在する溝は,インクの漏れや飛散を防ぐために必要な構造とされている。そうすると,上記3商品以外の各商品の中にも同様の溝があり,中には先口に溝がある商品が存在するとも推認される。そうである以上,溝があること自体は,反訴原告商品以外の商品にも存在するありふれたものというべきである。また,溝は,その大きさから,需要者の目に付きにくいこと(例えば,反訴原告商品の先口の長さは僅か9.1mmであり,溝がその先口に占める物理的割合は極めて小さい。乙1,2)に鑑みると,溝の位置の差異をもって反訴原告商品の形態における顕著な特徴とは考え難い。
 したがって,上記②も,それ自体としては,客観的に他の同種商品と異なる顕著な特徴であるとは認められない。
  d ③については,前記(3)ウのとおり,別紙比較商品目録記載の各商品の中には,先口全体の色がインクの色と同じであるものが多数存在する(同記載1,5,6,8~12,15,18の各商品)。
 したがって,③も,反訴原告商品以外の商品にも存在するありふれたものであり,それ自体としては,客観的に他の同種商品と異なる特徴とは認められない。
  e 以上より,先口に係る反訴原告の主張は採用できない。
 (イ) 穂先
 反訴原告は,反訴原告商品の穂先が毛筆タイプである点をもって,他の同種製品とは異なる顕著な特徴であると主張する。
 しかし,前記(3)ウのとおり,別紙比較商品目録記載1及び3の各商品(リアルブラッシュ,アートブラッシュ)は,穂先が毛筆タイプの商品である。そもそも,前記(3)アのとおり,筆ペンの種類をペン先により分類した場合には毛筆タイプが一つのタイプとして存在する。本件カタログの「筆ペン」のカテゴリーの箇所にも,毛筆タイプの筆ペンが多数紹介されている(乙21の2)。
 したがって,穂先につき反訴原告が反訴原告商品の特徴とする点は,反訴原告商品以外の商品にも見られるありふれたものであり,それ自体としては,客観的に他の同種商品と異なる特徴とは認められない。
 なお,反訴原告は,反訴原告商品の穂先を毛筆タイプとしたことは筆の製造販売業者としての創意工夫であり,特別顕著性を基礎付けると主張する。しかし,特別顕著性の有無は客観的に判断すべきものであって,反訴原告の主観的意図により左右されるものではない。
 したがって,この点に関する反訴原告の主張は採用できない。
 (ウ) キャップ
 反訴原告は,キャップについて,色が透明であり,クリップが付いている点が,他の同種製品とは異なる顕著な特徴であると主張する。
 しかし,前記(3)ウのとおり,別紙比較商品目録記載の各商品の中には,キャップが透明であり,クリップが付いているものが多数存在する(同記載1,9,10,15,16,19,20の各商品)。
 したがって,キャップにつき反訴原告が反訴原告商品の特徴とする点は,反訴原告商品以外の商品にも見られるありふれたものであり,それ自体としては,客観的に他の同種商品と異なる特徴とは認められない。
 反訴原告は,先口や穂先がキャップを付けた状態でも見えるようにするためにキャップを透明にするとともに,持運びの利便性を考えてキャップにクリップを付けたことは,筆の製造販売業者としての創意工夫であり,特別顕著性を基礎付けると主張する。しかし,上記のとおり特別顕著性の有無は客観的に判断すべきものであり,反訴原告の主観的意図により左右されるものではない。
 したがって,この点に関する反訴原告の主張は採用できない。
 (エ) 軸
  a 反訴原告は,反訴原告商品の軸について,①グリップはなく,カートリッジ交換式でない点,②長細い点,③濃紺色である点が,他の同種製品と異なる顕著な特徴であると主張する。
  b まず,①についてみると,前記(3)ウのとおり,別紙比較商品目録記載の各商品の中には,グリップはなく,カートリッジ交換式でないものが多数存在する(同記載1,3~19の各商品)。また,前記(3)アのとおり,筆ペンの種類を構造により分類する場合,カートリッジ交換式か否かが一つのメルクマークになっているところ,本件カタログの「筆ペン」のカテゴリーの箇所には,グリップはなく,カートリッジ交換式でない筆ペンが多数紹介されている(乙21の2)。
 したがって,①は,反訴原告商品以外の商品にも見られるありふれたものであり,それ自体としては,客観的に他の同種商品と異なる特徴とは認められない。
  c 次に②について,前記(3)イ及びウのとおり,反訴原告商品のサイズ(径9×長170㎜)は,別紙比較商品目録記載の各商品のうち,径及び長さの数値が判明しているもの(同記載1~3,5,6,11,16,19の各商品)と比較すると,径は短く,長さは長いものの,その差異の程度は,外形上顕著といえるほどには大きくない。その余の同記載の各商品も,どちらかといえば長細いものである。さらに,本件カタログの「筆ペン」のカテゴリーの箇所には,反訴原告商品と径は同じで長さが長い商品(ぺんてる製の「ふでペン」径9×長172mm)が紹介されている(乙21の2)。
 これらのことに鑑みると,②も,それ自体として客観的に他の同種商品と異なる特徴であるとは認められない。
  d さらに,③について,前記(3)ウのとおり,別紙比較商品目録記載の各商品には,軸が黒色ないしこれに近い色のものが多数存在する(同記載2,3,6~8,10,12の各商品)。本件カタログの「筆ペン」のカテゴリーの箇所にも,そうした色の軸のものが多数紹介されている(乙21)。
 したがって,③も,反訴原告商品以外の商品にも見られるありふれたものであり,客観的に他の同種商品と異なる特徴とは認められない。
  e 反訴原告は,反訴原告商品の軸の特徴は,先口及び穂先の特徴と相まって,筆に近い印象を受けるものになっており,このことは特別顕著性を基礎付けると主張する。
 しかし,上記のとおり,反訴原告商品の先口,穂先及び軸につき反訴原告が特徴と主張するところは,いずれも反訴原告商品以外の商品にも見られるありふれたものであるところ,反訴原告商品がこれらの特徴を併せ持つことにより客観的に他の同種商品と異なる顕著な特徴を生じたというべき事情は認められない。
 したがって,この点に関する反訴原告の主張は採用できない。
 (オ) 以上より,反訴原告商品の形態は,他の同種商品にもみられるありふれたものであり,それ自体としては「商品等表示」ということはできない。
   ウ 包装態様について反訴原告は,反訴原告商品の包装態様について,商品名,インクの色,ロゴ等が印刷された台紙と共に透明なビニールに包装されて販売されている点が,他の同種商品と異なる特徴であると主張する。
 しかし,不正競争防止法2条1項1号は商品そのものと商品の包装とを区別しており,商品の形態につき商品等表示に該当するか否かの判断に当たり商品の包装をも含めることは,そもそも適当でない。この点を措くとしても,前記(3)イのとおり,反訴原告商品は単品でのみ販売されるものではなく,セット販売もされているところ,単品で販売される場合の包装のみを考慮に入れることに合理性はない。
 さらに,これらの点をいずれも措くとしても,証拠(甲13の1,18,乙11,25)によれば,ビニール製の吊下げ袋を用いることは,筆ペン等の包装態様としてありふれたものであり,台紙付きとすること,その台紙に商品名やロゴ,商品の説明等を印刷することも,いずれもありふれたことであるし,実際の反訴原告商品の包装も,客観的に見て,他の同種商品と異なる特徴といえるほどのものはない。
 また,前記のとおり,特別顕著性の有無は客観的に判断すべきものであり,反訴原告の主観的意図により左右されるものではない。
 したがって,包装態様も,それ自体としては,客観的に他の同種商品と異なる特徴とは認められない。この点に関する反訴原告の主張は採用できない。
   エ カラーバリエーションの存在について
 反訴原告は,反訴原告商品のインクの色に「日本の伝統色」という落ち着いた色合いを採用し,これを多色展開しているというカラーバリエーションが,他の同種品と異なる特徴であると主張する。
 しかし,「商品等表示」におけるカラーバリエーションの位置付けはさておき,前記(3)ウのとおり,別紙比較商品目録記載の各商品の中にも,インクの色に本件色事典に掲載されている色を採用しているものが複数存在する(同記載2及び5の各商品)。そうすると,インクの色に「日本の伝統色」(本件色事典掲載の色)を採用していることは,反訴原告商品以外の商品にも見られるものであり,他の商品と異なる特徴とはいえない。
 また,前記(3)イのとおり,反訴原告商品は,必ずしも複数本がセットで販売されているわけではなく,単品でばら売りされることもあることを考えると,多色展開している点をもって反訴原告商品単品の特徴と捉えることは,必ずしも適当でない。この点を措くとしても,前記(3)ウのとおり,別紙比較商品目録記載の各商品はいずれも多色展開しており,このうち,同記載1,6,12及び16の各商品は,反訴原告商品(30色)より色数が多い。そうすると,多色展開していることも,反訴原告商品以外の商品にも見られるありふれたものといえる。
 以上によれば,カラーバリエーションも,それ自体は,反訴原告商品以外の商品にも見られるありふれたものであり,客観的に他の同種商品と異なる顕著な特徴であるとは認められない。この点に関する反訴原告の主張は採用できない。

 反訴原告は,反訴原告の商品形態,包装態様,カラーバリエーションの組み合わせの全てを備えた商品は存在しないと主張し,裁判所もその事実自体は認めたが,組み合わせに関しても他の同種商品と異なる顕著な特徴とはいえないとして,反訴原告の請求を棄却した。

   オ 組合せについて
 (ア) 反訴原告は,反訴原告商品自体の形態,包装態様及びカラーバリエーションの存在を全て備えた商品は存在しないとして,これらの組合せが,他の同種商品と異なる特徴であると主張する。
 (イ) 反訴原告主張に係る反訴原告商品の特徴を全て備えた商品は,証拠上認められない。しかし,前記イ~エのとおり,その特徴なるものは,いずれも,客観的に他の同種商品と異なる顕著な特徴であるとは認められず,これらを組み合わせることによって,反訴原告商品につき客観的に他の同種商品と異なる顕著な特徴が生じていると見るべき事情も見当たらない。
 したがって,この点に関する反訴原告の主張は採用できない。
   カ まとめ
 以上より,反訴原告商品の形態等は,特別顕著性を有するとは認められないから,その余の点を検討するまでもなく,これをもって「商品等表示」(不正競争防止法2条1項1号)ということはできない。

3 検討

 本件は、不正競争防止法2条1項1号における商品形態の特別顕著性について,具体的な「筆ペン」という商品を題材に細部を検討した事例として,実務上参考になるものと思われる。特に,特別顕著性は認められなかったものの,商品の形状ではない「カラーバリエーション」の点を商品形態の一要素として検討している点は興味深い。
 また,商品形態のうち個々の要素がありふれたものである場合,その組み合わせもまた「顕著な特徴」ではないとして特別顕著性を否定した点も参考になる。組み合わせによる特別顕著性については,「ありふれた形態であるか否かは商品形態全体について判断され,各構成要素がありふれたものであっても,その組み合わせが他の同種商品に見られない特徴を有していれば,特別顕著性が肯定される(東京地判平成10年2月25日判夕973号238頁,東京地判平成29年8月31日(平成28年(ワ)第25472号)等)」との規範が原告側から主張されるケースが多いが,原告の主張する形態上の特徴を全て備えた同種商品が存在するケースはむしろ稀であり,組み合わせによる僅かな違いをもって安易に特別顕著性を認めることは,商品形態の保護範囲を不当に拡張するおそれがあるから,個人的に本件の判示は妥当と思われる。

以上

(筆者)弁護士・弁理士 丸山真幸